めっきの断面解析とは、製品を樹脂に埋め込み、研磨機で製品の断面を露出させた後、金属顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)でめっきの断面を観察する方法です。樹脂で補強することにより、製品のサイズが微小であったり、素材が柔らかかったりする場合でも、精密な断面観察が可能になります。蛍光X線膜厚計では測定が難しいめっきの膜厚や析出状態の評価に適している解析方法です。
金などの柔らかい金属や、めっきの膜厚が極めて薄い場合には、通常の研磨では膜厚が不明瞭になったり、膜が変形したりすることがあります。こうしたケースでは、イオンミリングを行うことで、膜厚の変形を防ぎ、より明瞭な断面観察が可能です。
この研磨方法では、まず、製品の上に遮蔽板を載せた状態で装置にセットします。その後、装置内でアルゴンのイオンビームを照射し、遮蔽板よりはみ出した部分がイオンビームにより削られます。これにより、機械的な研磨では難しい、なめらかな断面試料を作製することが可能となります。
イオンミリングは真空環境で行われるため、酸化などの影響も受けにくく、微細構造を崩さずに加工できます。また、硬さの異なる層が混在する試料でも、段差や欠けが少ない美しい断面が得られるのが特徴です。
断面解析の信頼性は、研磨技術に大きく左右されます。たとえば膜厚測定では、境界が明瞭な断面試料を作製できるかどうかが精度のカギとなります。製品に合わせた適切な研磨により、めっき膜や素材の変形を防ぎ、鮮明な境界を得ることができます。
当社では、豊富なノウハウと熟練した研磨技術により、 100 µm程度の小さな部品であっても、正確な研磨位置・良好な仕上がりでの研磨が可能です。この技術によって信頼性の高い断面解析を実現しており、万が一めっきに異常が発生した場合でも、迅速に解析・対応できる体制が整っています。