1ミリ以下の薄い金属膜であるめっきにも、規制や法令があります。
良くお客様と話題になる法令について、以下に記載します。
当社はこれらの規制や法令を遵守して、取り組んでいますので、その事例は後半に記載します。
RoHS指令とは以下のような指令です。
欧州議会で承認され、加盟国は、電気・電子機器における危険物質の法規定を整備し、生産から処分に至る 全ての段階で、環境や人の健康に及ぼす危険を最小化する事を目的としています。
2006年7月1日以降、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質は一部の例外を除き使用が禁止されました。
その後、2011年に改正され、2019年に規制物質が追加され、現在は、計10物質に拡大しています。通称はRoHS2指令です。2020年12月時点では、RoHS3も検討されているようです。
ELV指令とは以下のような指令です。
自動車廃棄物の削減とこれらが環境へ与える影響を軽減することを目指し、RoHS指令が発効する前の2000年5月に成立、同年10月に制定されました。
リサイクル処理を容易にする目的から、Cd、Pb、Hg、Cr6+の使用が一部の例外を除き禁止されています。
REACH規制とは以下のような指令です。
人々の県境や環境保護、欧州の化学産業競争力の維持向上を目指し、2007年に発行されました。対象は、物質、調剤中の物質、成形品中の物質です。
SVHC(高懸念物質)リストは、2020年12月現在、209物質です。
国内の法律ですと、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)や化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)などがあります。
上記は主に、電気電子製品などの工業品に対しての制約を挙げました。
業界によって、様々な規制がありますので、どういった製品にめっきをするのかによって、対応する内容を精査することが必要です。
国内外で指令や法令がありますが、めっき皮膜に対して、具体的に気を付けることの一例をご紹介します。
めっき皮膜は金属ですので、まずは、やはり、鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)の4種は注意です。※RoHS指令の規制物質であるPBBsなどは一般的には含有しません。
RoHS指令はEUが適用範囲ですが、類似の制約は各国で設定されています。
グローバル社会になっている現状では、他国への輸出の可能性も含め、対応を行う必要があります。
弊社ではより安心してご依頼いただけるよう、日頃からの生産管理体制に加え、皮膜中の4物質に対しての分析体制を整えています。
めっき皮膜中のRoHS4元素分析については、IEC62321という分析機関としての認定も取得しておりますので、ご安心いただければと思います。
前述しましたが、めっき皮膜は金属を析出させるものです。なので、規制対象は金属だけに注意すればいいかというと、決してそうとも言えません。
現在では、めっき皮膜も多様化しており、その一つとして、金属以外の物質をめっき皮膜に含有させる”複合めっき”があります。
複合めっきは、複合させる材料が規制対象となる場合があることに留意が必要です。
事例としては、PFOS、PFOAの規制強化があります。
複合めっきの代表として、PTFEというフッ素樹脂を複合させためっき皮膜があります。このPTFEの含有物となる、PFOS、PFOAという物質が規制対象となることとなりました。
まだ若干猶予はあるものの、当社ではすでに切り替えを進めております。