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1めっきを初めて学ぶ方へ 電解めっきと無電解めっきの原理

電解めっきと無電解めっきは、湿式めっき法に属する主要なめっきです。
一つ前の項でご説明したように、湿式めっき法は「めっきしたいモノを水溶液に浸漬させてめっきする方法」です。
水溶液中で金属の膜(めっき皮膜)を析出する方法が、当社で行っているめっきの方法です。

どうやって水溶液中でめっき皮膜を析出するのか?

水溶液中にはイオン化した金属が溶け込んでいます。この液をめっき液と呼びます。
この液中の金属イオンをめっきしたい品物の表面で還元し、金属にすることでめっき皮膜として析出する、という仕組みです。

この金属イオンを還元して金属にする反応のうち、
水溶液に電気を流し、電気エネルギーで進める場合を、電解めっき(電気めっき)、
水溶液中の、物質による化学反応で進める場合を、無電解めっき(化学めっき)と呼びます。

電解めっきと無電解めっきは、一長一短があり、どちらがいいということはありません。
その時々の必要事項によって、使い分けが必要となります。
では、この2つのめっきについて、もう少し詳しく説明していきます。

電解めっき(電気めっき)とは?

電気エネルギーを使っためっき方法

電解めっきでは、電気を流すとめっきが析出します。
流す電気が全て金属イオンを還元する反応に使われる場合(電流効率100%という)、流す電気量=析出するめっきの量となります。
めっきをするときには、単位面積にかける電流値を計算し、めっき処理する時間でめっき膜厚(=めっきの厚み)を制御します。
単位面積にかける電流値のことを電流密度(A/dm^2)と言います。
実際には、他の反応に使われる場合もあるため、めっき液によって、電流効率は大きく異なります。

電解めっきで重要なこと

めっきの量というのは、言い換えると、体積です。
なので、同じ電気量でめっきしたい部分の面積が2倍になると、めっきの厚みは2分の1になります。
また、同じ面積で電気量が2倍になれば、めっきの厚みは2倍にあります。
電気量はかける電流と時間の積なので、電解めっきの最重要因子としては、めっきをする面積、かける電流、かける時間と言えます。

これだけでめっきができるの?簡単じゃないか。と思うかもしれません。ですが、非常に奥が深いのがめっきです。
例えば、品物に電気が流れる、と言っても、実際にはめっきしたい部分全てに均一に電気が流れるわけではありません。
四角い板の場合、角には電流が集中するため、面の中央部より、角の方が膜厚が厚くなる傾向があります。
実際の品物は、複雑な形状のものもあり、どの部分をどのくらいのめっき厚みにするのか、様々な設定を行う必要があります。
こういった経験を積み重ねてノウハウを蓄積しているのが、当社のようなめっき屋と呼ばれるめっき加工専門業者です。
各社それぞれ独自の技術と得意分野がありますので、あなたのお困りごとに合致するめっき屋を是非探していただけたらと思います。

電解めっき

無電解めっき(化学めっき)とは?

化学反応エネルギーを使っためっき方法

無電解めっきは、電気の代わりに、化学反応でめっきが析出します。
無電解めっきには、置換めっきと還元めっきの2種類の析出方法があります。
置換めっきは、品物の表面の金属とめっき液中の金属イオンが置換する反応でめっきが析出します。
例えば、銅(Cu)の品物を金(Au)めっき液に浸漬すると、銅が溶解し、その電子を金イオンが受け取り、金めっきが析出します。
品物をめっき液につけるだけで、めっきが析出しますが、品物の表面をめっきが覆ってしまうと、品物の金属が溶解できなくなるため、めっきが析出しなくなります。よって、置換めっきは厚膜はできません。

一方、還元めっきは、還元剤という成分が品物の表面上で電子を放出することで、めっきが析出します。
ニッケルめっきや銅めっきを還元めっきする場合、めっきされた金属表面自体が触媒となり、還元剤の電子放出反応が進むため、膜厚を厚くすることが出来ます。このような反応を自己触媒反応と言います。

無電解めっきで重要なこと

無電解めっきは、品物の表面の浸漬状態が同じであれば、めっき反応も同じであるので、めっき膜厚も同じとなります。
複雑形状のものでも膜厚ばらつきを抑えためっきができます。
注意すべきは、処理液の管理です。無電解めっきは化学反応なので、反応がうまく進まないとめっきもうまくつきません。
化学反応をコントロールするには、処理液内の濃度や温度、pHなど、一般的には電解めっき液よりもシビアな液管理が必要となります。
当社では、電解めっき液、無電解めっき液、また、それ以外の多くの処理液に対し、それぞれの液に応じて必要な管理を行っています。

置換めっき
還元めっき