4 「めっきの工法・設備」の章

  1. 01 バレルめっき

5 「めっきに必要な処理」の章

  1. 01 綺麗にめっきをするには?
目次

6「めっき皮膜の種類と特徴」の章 銀めっき(電気伝導性、反射率が最高性能!)

銀は、貴金属であり、アクセサリーや食器のイメージがあるかと思います。装飾用途で使われることはもちろんですが、実は、機能性の目的としても広く使用されています。金属の中では最高の熱・電気伝導特性を持っています。よって、電気接点部やリードフレーム等にも使われています。
加えて、可視光領域での光反射性が非常に高いことも特徴です。また、抗菌性もあると言われており、他の金属には無い特徴を複数持っています。
外観は光沢と無光沢が可能です。光沢がある場合は銀白色、光沢が無い場合は白っぽくなります。

銀は貴金属であり、通常環境下では酸化しません。しかし、実際には茶色や黒色といった変色による問題が発生します。これは、亜硫酸ガスや硫化水素によって、硫化して硫酸銀を生成するためです。シルバーアクセサリーをつけたまま温泉に入るとアクセサリーが黒く変色してしまう、ということがありますが、同じ現象です。このため、使用環境や保管環境に注意が必要ですが、問題が無い場合は、銀めっきを選定することは十分可能です。

銀めっきした電子基板の例
銀めっきした電子基板の例

無電解銀めっき

無電解銀めっきは、置換銀めっきが多く使われています。銅材料やニッケル材料上への析出となります。めっき膜厚は1μm以下の薄いめっきとなります。還元銀めっきにより膜厚を厚くすることも可能ですが、銀の還元反応はコントロールが難しく、大量生産に使用されることは少ないです。

銀鏡反応

学校の授業で習った銀鏡反応は、無電解銀めっきの一種です。その名の通り、鏡の製造に使われています。実際に実験された方もいらっしゃるかもしれません。試験管の中で銀の含有液と還元剤の含有液を混ぜると試験管の内側に銀が析出します。外側から見るとまさに鏡になります。
銀鏡反応は一度薬液を反応させると溶液中の銀が全て析出するまで止まりません。前述した還元銀めっきも、銀鏡反応よりは制御できるものの、やはり他のめっき液と比べると不安定です。

電解銀めっき

銀めっきの膜厚を厚くしたい場合には電解銀めっきを行います。無光沢、光沢の表面外観のバリエーションもあるため、装飾用途、機能性用途、両方ともによく使われます。
銀めっきは柔らかく、一般的な銀めっきの場合、~80Hv程です。金属としての銀(25Hv程)よりは硬いですが、やはり柔らかいと言えます。そのため、傷がつきやすい、摩耗しやすいというデメリットがありましたが、他金属等の添加を行う事で、100Hvを超える硬度の電解銀皮膜が得られるようになりました。
一方で、皮膜の硬度は低いものの粘りがあるため、固体潤滑皮膜として軸受けなどに使用される一面もあります。

まとめ

銀めっきは、変色しやすい、柔らかい、貴金属で高い、という点があるものの、電気伝導性、熱電導性は金属の中でトップであり、また、高反射性、抗菌性等、他のめっきには無い特性を持った優れためっき膜です。それゆえ、製品によっては、銀めっきが最適となる場合は多々あります。
また、当社では、通常の銀めっきに加え、銀合金めっき皮膜等もご提案できる場合もあります。合金めっきの種類によって、特性も変わりますため、ご要望に合うめっき皮膜をご提案させていただきます。