4 「めっきの工法・設備」の章

  1. 01 バレルめっき

5 「めっきに必要な処理」の章

  1. 01 綺麗にめっきをするには?
目次

9「めっきの課題解決事例」の章 電子部品めっきの密着不良解決技術

めっきの密着力に 「応力」 が関係する?

めっきのトラブルの一つでもある 「めっき剥がれ」。

素材にめっきが密着しないことで剥がれに繋がることは当然ではありますが、めっき皮膜の 「応力」 も密着に関係しているかもしれません。

この記事では、見過ごされがちなめっきの 「応力」 がめっき剥がれにどう影響するのか、そしてその応力をどのように解決するのかについて、電子部品をモデルにご紹介します。

そもそも 「応力」 って何?

めっき皮膜は、微細な結晶の積み重ねで膜ができています。

積み重なった結晶によって、めっき皮膜を引っ張ったり、押し込んだりする力を持つことがあり、それをめっきの 「応力」 といいます。

通常、電子部品には接合用の電極部分に ニッケルースズめっき を成膜しますが、ニッケルめっきは応力が大きい金属として知られております。

そして、めっきの 「応力」 には、皮膜を反らせる力の 「引張応力」 と皮膜を押し込む力の 「圧縮応力」 があります。(図1)

電子部品では、引張応力が大きくなった場合、めっきの剥がれに繋がる可能性があり、結果として電気特性・信頼性低下などを引き起こしかねません。

図1. 応力について(電子部品でのイメージ)
図1. 応力について(電子部品でのイメージ)

「応力」 はこのように改善(事例)

ニッケルめっきの応力を緩和し、めっき剥がれを改善した事例をご紹介します。

応力改善手段の1つに、めっきの液種があります。
当社では、同じニッケルめっきでも、応力を調整可能な複数のめっき液を保有しており、用途に合わせて選定することができます。

図2は、めっき皮膜の引張応力の影響で下地電極とニッケルめっき皮膜間で隙間が発生していたものを、圧縮応力側のニッケルめっき液に変更することで密着が改善した事例となります。このような応力改善により、潜在的な密着不良解決に繋げることが可能となります。

図2. Niめっき液種による応力とその改善事例

応力改善のためのアプローチ

今回は見過ごされがちな 「応力」 がめっき剥がれにどのように影響するのか、どのように改善するのかをご紹介いたしました。

めっき液を変更することによる応力緩和をめっき剥がれ改善の一例として紹介いたしましたが、他にもめっき被膜の厚さを調整する応力緩和の方法や、電流効率を調整することによる応力緩和の方法もございます。

「めっき剥がれ」 の発生には 「応力」 が関係しているかも・・・?と感じた際にはぜひ弊社に改善のお手伝いをさせて下さい。