5 「めっきに必要な処理」の章

  1. 01. 綺麗にめっきをするには?
目次

7「めっき皮膜の種類と特徴」の章 ニッケルめっき(種類がとっても豊富です!)

ニッケルめっきは、装飾目的から機能性目的まで、幅広く使われている皮膜です。鉄鋼や銅合金材料と直接密着の良好な皮膜形成ができるため、多層めっきの場合の下地めっきとしても使われます。また、耐食性が良いため、最表層のめっきとしても使われることもあります。種類も多くあり、その目的によって使い分けが重要です。当社でも、ニッケルめっきを使う製品が一番多く、また皮膜の種類としてもニッケルめっきが一番多いです。
代表的なニッケルめっきについて、以下、ご紹介します。

無電解ニッケルめっき(Ni-Pめっき、Ni-Bめっき、他)

無電解ニッケルめっきの皮膜にはいくつもの種類があり、特性も異なります。その要因としては、皮膜がニッケルのみではなく、リン(P)やボロン(B)といった、ニッケル以外の成分を含むためです。その理由としては、無電解めっき液中の還元剤成分が共析するからです。還元剤として、リンを含む次亜リン酸塩が入っている場合は、無電解ニッケルーリンめっき、ボロンを含むアミノボラン化合物が入っている場合は無電解ニッケルーボロンめっきが形成されます。
なお、無電解ニッケルーリンめっきの析出反応を書くと、以下の通りとなります。NiとPが生成されているのがわかります。ちなみに水素も生成されていて、実際にめっきをすると、めっき液中からプクプクと気泡が出てきます。

無電解ニッケル反応式
無電解ニッケル反応式

無電解ニッケルーリンめっき(Ni-P)

前述の通り、無電解ニッケルーリンめっき皮膜にはリン(P)が含有しています。実は、このリンの含有がポイントです。リンの含有量の違いによって、めっき皮膜析出時の結晶状態が変化し、特性にも大きな違いが出るのです。
例えば、リンが少ない皮膜(=低リン皮膜)は、析出時の硬度が高く、はんだ付け性も良好です。リンが多い皮膜(=高リン皮膜)は非磁性で耐食性にも優れています。中間の皮膜(=中リン皮膜)はバランスの取れた皮膜であるため、最も広く使われています。ページの最後に比較表を掲載しますので、その違いをご覧ください。なお、数値は参考値となります。

無電解ニッケルーボロンめっき(Ni-B)

無電解ニッケルーボロンめっきは、特に耐摩耗性や耐食性に優れています。皮膜特性だけ見ると、ニッケルーリンめっきより優秀とも言えます。しかしニッケルーリンめっきよりは使われる頻度は少ないのが実情です。その大きな理由の一つとしては、めっき液コストが高いことです。そのため、付加価値の高い製品に絞って使用されています。最近では、高機能化の要求が加速しているため、需要も増えてきています。

その他の無電解ニッケルめっき

その他の無電解ニッケルめっきとしては、黒色外観が得られる黒色ニッケルめっきや、皮膜中にリンやボロンだけでなく、コバルト(Co)やタングステン(W)など、他の成分を少量含有させた合金めっきもあります。それぞれ、特有の性質を持っており、新たな機能を持つめっき皮膜が広がっています。

電解ニッケルめっき

電解と無電解の違いとは?

電解ニッケルめっきは組成はニッケルのみであるため、無電解ニッケルめっきよりも抵抗が低く、また、柔らかい皮膜です。よって、板材や線材に先にニッケルめっきをしてから加工するという事も行われています。また、無電解ニッケルめっきに比べ、比較的短時間で厚膜化もできます。ちょっと特殊な例ですが、数百μmの厚付け電解めっきをする、電鋳と呼ばれるめっき技術があります。めっき皮膜そのもので部品を作ることができ、検査プローブ等のMEMS部品の作成や、特殊工具にも使用されている技術で、その際にニッケルめっきが使われることがあります。

電解ニッケルの種類

電解ニッケルめっきは、添加剤等を用いることで、めっき表面の光沢度合いを調整することができます。無光沢、半光沢、光沢、といった呼ばれ方で区別されています。
無光沢ニッケルめっきは光沢ニッケルめっきより耐食性が高く、機能性用途で使われる皮膜です。一方、光沢ニッケルめっきは、外観美も要求される場合に用いられます。例えば、水洗金具や自動車のバンパー等は光沢ニッケルめっき上にクロムめっきを行うことで、耐食性と光沢のある美しい外観を兼ね備えています。

まとめ

ニッケルめっきは、下地めっきとしても、最表層めっきとしても優秀なめっき皮膜です。また、ニッケルめっきの中でもたくさんの種類があるため、めっきの目的によって、適切な選定が重要です。選定を間違うと、思ったような出来栄えになりません。当社では、お問い合わせいただきました際に、ご依頼内容をできるだけ細かくヒアリングさせていただき、めっき皮膜を提案させていただいております。