製品仕様や膜厚範囲に応じて最適な手法を選択し膜厚測定を行います。
非破壊での測定が要求される場合は、蛍光X線式膜厚測定を用います。
破壊が可能な場合は、検体を研磨して断面を露出させ金属顕微鏡や電子顕微鏡を用いてめっき部分の厚みを測長します。研磨は、機械で物理的に削る方法と、アルゴンビームを用いてイオンで加工する方法があります。
出荷検査等の製品保証で膜厚測定を行う場合は、非破壊による測定が求められます。蛍光X線分析装置を用いてめっき膜厚を測定する際、その妥当性を確認することがとても重要です。弊社では、製品と同仕様のサンプル品を用いた断面膜厚との整合確認や標準箔を用いた再現性の確認等を行い、十分に評価して測定のための検量線を作成します。検量線の作成が完了すれば、多点測定や繰り返し測定等に活用できます。
非破壊測定、スピーディに多点を測定したい場合はこの方法をおすすめいたします。
★対象:膜厚30µm以下の製品
蛍光X線での膜厚測定の信頼性を確認したり、より正確な膜厚を測定したい場合に用いる方法です。
サンプルを樹脂に埋め込み硬化させ、研磨ペーパーを回転させながら削っていくことで断面を露出させます。最後に鏡面仕上げを行い、金属顕微鏡でめっき部分の測長を行います。研磨によって物理的な傷やダレ、ノビが生じてしまうと正しい膜厚が測定できません。削る際の圧力、時間、回転速度等を吟味しながら目的位置に断面を仕上げていきます。条件の選択や仕上がりの状態は、長年の経験を積んだ熟練者によって厳しくチェックされます。
★対象:膜厚2µm以上の製品
膜厚が2µm以下の薄いめっきの場合、機械研磨-金属顕微鏡測定では精度に限界があるため、より高精度な方法で測定します。
イオン研磨を用いて物理的なダメージを与えずに、フラットな断面に仕上げることで、薄膜でも本来の厚みのまま観察できます。
測長は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いてい高倍率で観察することにより、測定誤差を最小限に抑えます。
★対象:膜厚0.2µm以上の製品
膜厚が0.2µm以下のさらに薄いめっきの場合、TEMを用いてさらに高精度な方法で測定します。
TEMとは透過型電子顕微鏡で、観察面を薄いフィルム状にすることでSEMよりもさらに観察倍率を上げることができます。
まずFIBを用いて観察対象の部分をフィルム状に加工してTEMで観察します。ナノめっきを評価するためには、高度な技術と高性能な装置が必要となります。
★対象:膜厚0.2µm未満の製品